『舞台 モノノ怪~座敷童子~』

 

原作:アニメ『モノノ怪』 
IMM THEATER 7列目下手寄り(東京ドームに出来た新劇場)

 

舞台 モノノ怪の第二弾
薬売りを再び新木宏典さんがやるということで楽しみに待っていました。しかも前回出演された方が今回も出るという。既存劇団の公演ならともかく、珍しいですよね。もはや劇団モノノ怪でしょうか。

大千秋楽、1回きりの観劇のためしっかり観なくては!
薬売りのカラフルなら出で立ちに合わせ、わたしもヘアカラーをカラフルにして参戦、グラデーションしちゃった。

座敷童子というだけあり、悲しいお話しです。でも救いもありました。
中盤くらいから女性のすすり泣きが聞こえました。わたしも終盤は泣いていました。

一般的に語られる座敷童子は、童子がいる家は栄えるというもの。
でもここに登場する童子たちは幸運をもたらさないと思うが、成仏できない可愛そうな魂たちです。

童子たちがいるのは旅館、しかし20年くらい前までは女郎屋だった。
察しがつくと思いますが、童子たちは女郎さんたちが堕胎した子供の迷える魂です。そして処置専用の部屋があり、旅館になった今では開かずの間として使用していないのですが、空きがない状況で妊娠している若い女性(志乃)がやってきて根負けした女将は「あの部屋」(開かずの間)を使うのです。

旅館にいる誰ひとり、童子たちの声にも姿にも気づかないのに、志乃だけは聞こえるし、見える。会話もなりたつ。優しい言葉をかけてくれた志乃に童子たちは懐いていき、その夜彼女を殺す依頼を受けた男が忍び込んでくるが、童子たちがそいつを殺してしまう。もちろん人の所行とは思えぬ殺し方で。

ここから本格的に薬売りの出番になるわけですが、前作と違い、薬売りが板上にいる時間が長い。前作では中盤付近まで登場しなかった。主役なのに。
今回はセリフがなくても、今、ここにいなくてもいい時でも薬売りは舞台のどこかにいる。リアルタイムの話しはほぼ開かずの間で展開しますが、薬売りは旅館のどこかにいるという風に廊下を歩いていたり、他の部屋(彼が通された客間?)で佇んでいたり、おそらく旅館で感じるモノノ怪の気配を辿っている。
薬売りの新木さんは舞台に存在していないようで、存在している。加減が絶妙。もちろん他の演者さんたちのお芝居が巧みだから。わたしの席の正面に薬売りが立っている時間もあったのに、まるでシルエットだけのような感覚だった。

舞台では座敷童子となって留まってしまった哀れな魂たちがなぜ留まってしまったのかが明かされていく。
子供はこの人が良いと自ら母親を選んで体内に宿るという説を取り入れた展開。
始末されてしまうときの叫び。
だからこそ薬売りの剣で光の中へ旅立っていくときの清々しさが生きる。

優しい光の中でしばらく過ごしたら、生まれ変われるといいねと願わずにはいられなくなる話しでした。

 

『舞台 死ねばいいのに』

 

原作:小説『死ねばいいのに』 京極夏彦
紀伊國屋サザンシアター 2列目上手寄り

新木さん(新木宏乗(アラキヒロフミ))で舞台化されると知り、早々に原作を読み終えたとき、「これを舞台化するのか~難しそうだな~」と思いました。

登場人物は常に2人
渡来健也と亜佐美の関係者
あまり動きはなく、基本2人の会話
渡来健也という主人公も解釈と脚本、演出次第でかなり振り幅がありそう

舞台をどういう風に使うのだろう?
中央にポツンと椅子とテーブルかしら?でも相手によってシチュエーションがかなり違う
ファミレスだったり、ひとり暮らしの女性の部屋だったり、ヤクザの事務所だったり・・・
で、こんな風に設えてありました。

セットの写真撮影は上演中でなければOK、SNS等にUPもOKです。

話しの展開は、ひとり暮らしの女性、亜佐美が殺された。彼女と生前4回会ったことがあるという渡来健也(20代半ばくらい?)が彼女はどんな人だったのかを訪ね聞くというもの。
6人の男女が登場するが、生前の関係者は4人、残り2人は事件担当の刑事に弁護士。
一人目 派遣先の中間管理職 亜佐美と肉体関係有り
二人目 隣の部屋に住み、同じ派遣会社に登録している女性 亜佐美に男を寝取られたと思っている
三人目 ヤクザの組員 亜佐美の情夫
四人目 亜佐美の母親 借金の形に亜佐美をヤクザに売った(このヤクザは三人目の上席)
五人目 事件の担当刑事
六人目 弁護士

新木さんは舞台を中心に様々な役を演じていて、殺すことをなんとも感じないような役もやってきている。なので今更人殺し役をやっても驚かないのですが、健也は私の中でわかりにくい男です。

健也は亜佐美を殺したのですが、それは亜佐美が「死にたい」と言ったからです。
わたしは自殺志願者を思いとどまらせることはしない派ですが、「死にたい」と言うから首を絞めて殺しました。には、進みません。
それは自分の中で損得勘定を瞬時にするからです。

では、亜佐美の希望を叶えた健也は?
彼は自信を学がないバカだと称する。確かに話し方や座り方などを見ていると会社員としてはやっていけないだろうなと判る。学校の勉強は出来なかっただろうことも判る。では、愚かか?と考えるとそうは思わない。
健也は相手に対して忖度しない。自分が思ったことをストレートに言う。なので相手は痛いところをつかれ、それが真実であるから怒りを発する。
それを何度か繰り返す。
「じゃあ自分はどうすれば良かったのか?」となる。
すると健也は「死ねばいいのに」という。
まるでそこに持っていくために巧み誘導しているようで、本人はそんな気はなくてもいつの間にか絡め取られているようで。
そういう点で健也は天才です。

健也は亜佐美のことを聞いてまわるが、わたしは健也ってどんな人なのと聞いてまわりたい気分です。

健也って、亜佐美の前にも殺しているんじゃないの?
最初の4人が「死にたい」と言ったら、殺したの?
というか、健也って、人なの?
関係者が作り出した妄想で実在していないんじゃないの?

「死ねばいいのに」というセリフ、本で読んでいる時はどんな言い方をしたのかは想像になる。
わたしが真っ先に浮かんだのは、ミュージカル「エリザベート」でトート閣下が言う「死ねばいい!」風。(これも演者によって高圧的だったり、妖しく誘う風だったりあるが)
トート風だったら、健也はサイコだなと思ったでしょう。
でも新木さんの「死ねばいいのに」は、演出も含めて普通でした。
普通というのは、会話の一部として存在していて、特に際立った演出があったわけではないということ。
一人目のときは呆気にとられたほどです。
それが六人目まで変わることなく、まるで「おはよう」「さようなら」「またね」という日常会話のごとく「死ねばいいのに」と言っていた。
だからこそ新木さん演じる健也がわたしをどんどん謎のループに引きずり込んでいく。

今回、千秋楽しか観ていないが、数回観たら観ただけ判らなくなったことでしょう。
まるで「漆黒天」のように。
そう思うと1回観劇で良かった。
この1回で受けた衝撃だけで健也に対してグルグルしよう。情報と印象が少ない分、自分なりの結論に辿り着けそうです。

『ミュージカル イザボー』

1月22日 ブリリアホール 1階6列目下手通路側

日本のオリジナルミュージカルもここまで来たか!
歌唱力があるって正義!
ミュージカルにおける歌唱力ってただ巧いだけではダメで、演じている役のセリフの一部だとわたしは思うので、役との整合性が必要で、その上での巧さ、説得力を兼ね備えていて欲しいのです。
その点で、イザボーの出演者はアンサンブルを含めて皆さん巧い!
休憩含め約3時間、聴き惚れました~。

脚本、演出の末満さん。
オリジナルは映画を含め3本目の観劇でしたが、2.5より自由度が高いのでやりやすいのだろうな。
ブルゴーニュ公ジャン(またはサン・プール)殺害の実行役を12年前に暗殺されたオルレアン公ルイの関係者たちとしていたが、実際には後のシャルル7世の側近たち。因果応報、やったらやられるという地獄を表現する一端として末満さんらしい選択だなと思う。

この辺りの歴史はベルばらを発端に歴史オタク化したわたしがとっても好きな時代で、なんていうか諸々破壊されたり消失したりして、何か発見されたらひっくり返る可能性が残っていてワクワクする。物語の一部を見ているような気持ちでいられるのがフランス革命前あたりまでなんですよね。ややおとぎ話チック。それ以降は経済史や政治史が表に出すぎてつまらなくなってくる。

またヴァロア王朝なんて言ってるけど、実際のところ王権なんてたいしたことなくて諸侯のどこと組むかで成り立っていた時代、それが百年戦争で諸侯の力が弱まり絶対王政に繋がるのだから面白い。

オルレアン公ルイの本妻がヴィスコンティ家出身だとイザボーで知りました。いっときはイタリア全土を掌握しそうだったミラノ大公家(映画監督のルキノ・ヴィスコンティ好き~~)ヴァロア家と繋がっていたのですね。(地理的には当然だろうか)
イザボーはバイエルンヴィッテルスバッハ家のお姫様で、嫁ぎ先でヴィスコンティ家の公女と縁戚関係となる(しかも寝取ってしまう)。それから500年後くらいの最後の直系男子ルキノ・ヴィスコンティヴィッテルスバッハ家最後の王、ルードヴィッヒ2世の生涯を映画化したのは必然でしょうか?(かなりこじつけ感)

ミュージカルの話しから随分飛んでしまいました。
楽曲はフレンチ・ミュージカル系統(ロック調)
フレンチ・ミュージカルを最初に見たのは宝塚星組の「ロミオとジュリエット
初見のときは五月蠅いミュージカルだな~とやや嫌悪したけど、聴き慣れてくると気にならなくなってくるから不思議です。
フレンチ・ミュージカル系の曲は裏声を仕えないからめちゃくちゃ腹筋使って力業で発声するようなところも有りますが、だいもん(望海さん)はまったくそれを感じさせなかった。

衣装も格好良かったな~
ビジュアル写真で使われている赤い衣装はイザボーの戦闘服なんだろうな。スリットから覗く美脚も良き。

席を贅沢言わなければ、平日ならまだ取れそう・・・もう1回観たい。

「フランスはひとりの女に滅ぼされ、ひとりの少女によって救われた」
イングランドと停戦条約を結んだことにより(内容が凄いしね)イザボーはフランスでは今でも嫌われているのだろうか?
でも百年戦争中のフランスはイングランドと戦争しているというより、国内の勢力争いによる内戦のほうが激しかった。その事を鑑みると他国と戦争している場合じゃない。諸侯たちは結局自分の領地と政治的影響力を維持することしか考えていなかった時代、もろもろ総合してイザボーを見直しても良いのではないか?
ベルばらの影響でマリー・アントワネットがたんに浪費家だったわけではないという再評価されている昨今、イザボーのことも冷静に見直すきっかけになれば良いと思う。

配信『ミュージカル刀剣乱舞 千子村正 蜻蛉切 双騎出陣 万の華うつす鏡』辛口


12月31日 千秋楽
 
 
会場がアラウンドシアターと知ったとき双騎出陣なのにどうなるんだろうか?とやや心配になりました。360度使える劇場をメイン二人の運動量でカバー出来るのか?あそこで観劇したことがある方ならこの心配は判っていただけると思います。
 
始まってみたら、運動量は関係ない使い方をしていたわけです。
 
さて今回の出陣はいつもの刀ミュとはまったく違うものでした。
事前情報なしで配信を観たので、一瞬キョトンです。
「これは…なに?」
 
敢えて言うなら、ストーリーのあるマンガだと思って表紙買い同人誌が中を見たらポエムだったパターン(二次創作の漫画にはよくある)
 
刀ミュ本丸的に言うと、刀剣男士の元となる逸話や伝説は彼らの見た目や性格を形成す根幹であると同時に彼らを縛り付ける枷でもあり、今回の千子村正は「妖刀村正」という言葉に囚われ過ぎてしまった。
それに気づいて、精神的に自由になれたってことなのかな?とわたしは感じました。
 
1幕目が45分
45分…にっかり青江 単騎出陣より短い…
 
村正の精神世界のような話しなので、そのくらいが限界だろうと思うけど、どこに向おうとしているのだろうか。
 
というか、これをわざわざやる必要性があったのか?普通に出陣のときのエピソードとして圧縮してぶち込めたのでは?
 
とはいえこの二振りが揃って出陣する話が作られるかという問題もあるし(演者のスケジュール的問題もある)、2.5以外に足場固めし始めている二振りをいつまで繋ぎ止めておけるかという現実的なこともある。
 
2幕目はいつもライブパート(とっても満足しました)
 
最初は二振りが出陣したときのナンバー
 
その次はまるで「マツケンサンバ」なノリの「サルササンバ」?
蜻蛉切のマイク持つ小指が終始立っていた。(これは当然演出でしょう)
 
後は今回用の曲?(刀ミュを全て網羅していないので違ったらゴメンなさい)
 
二振りの舞台降り有り
 
アンサンブルダンサー(万華鏡ダンサーズ)の能力高い~~
 
刀剣乱舞双騎出陣バージョン
 
ライブ途中でのMCはなく、ご挨拶のみ
 
終演後の特報はなし(残念)  
ライブパートは盛り上がったし、楽しかった。

『七海ひろき クリスマスディナーショー Great Hunter』

 
2023年12月20日 東京會舘 ローズの間

Great Hunterはオリオン座のことなのですって💖知らなかった。
 
宝塚卒業以来、毎年ディナーショーを開催してくれてありがとう。そして毎年お席を用意されて嬉しい。
 
今回は瀬戸かずやさん、音波みのりさん、愛白もあさんが参加
演出振り付けは昨年同様 芽吹幸奈さん
 
瀬戸のアニキ、男役の色気がだだ漏れでした。ひろきのお兄様ファンのわたしでもクラクラいたしましよ。
 
選曲はいつもながら宝塚歌劇のナンバーが中心、後半はポップス
今年はポップスが増えたような気がしました。
 
お兄様とアニキの「わたしとあなたは裏表」は可愛く歌おうとしているところが微笑ましくて😄 宙組でお兄様のスカーレット役を観ているわたしは懐かしくもあり、歌ってくれてありがとう~~
 
うたかたの恋もね、いつか歌ってくれるといいな~と思っていたの。しかもセリフ入り。ズキュン。「あなたとならどこへでも」即答ですわ。
 
はいからさんが通るの大正浪漫恋歌はね、花組さんのこれを観劇して宝塚にはまった友人がいるから聴かせてあげたかった😁
 
コロナが五類になったこともあり、客席降りしているときにハイタッチしてくれたり、アニキのハントタイムがあったり。わたしはアニキとタッチしちゃいました。
久しぶりにきゃっきゃ出来たディナーショーでしたよ。
 
しかも今回のテーブルは話しが適度にはずんで居心地良いテーブルでした。たま~にひたすら黙々と食べるだけのテーブルとかあるんですよね。
おしゃべり解禁になったのでこれからはファン同士の交流も以前のように出来ると嬉しいな。

『クリスマスの物語2023』

 

第1章 リーディング『外套』ニコライ・ゴーゴリ
第2章 パフォーマンス『長いクリスマスディナー』ソーントン・ワイルダー

サロンdeお芝居さんの公演を観劇しました。友人が参加しているご縁で昨年に引き続きの観劇です。
学生の頃、この手の小作品をよく観たものです。お値段が優しいのでお小遣いで生活している学生でも手が届きました。
何より好きな声優さんの本業の方を観られるチャンスでもあり、終演後に少し話しが出来たりして嬉しかったな。

さて、第1章は朗読劇
場所はロシア、時代は1840~50年くらい(作家が1852年没なので)の冬
役所勤めの卯建の上がらない小役人が主人公
修繕を重ねた一張羅の外套がついに寿命を迎える。(外套:冬物コートです。お客様で外套がなにか判らない方がいたとのことなので念のため)
安月給の主人公(アカーキイ・アカーキエヴィチ)は仕立屋に何度目かの修繕を依頼するが、もうムリだと断られ、新たに作ることを提案される。
生活するのがやっとな彼は新たに仕立てる余裕はなく、なんとか修繕で済むように持っていこうとするが修繕を重ねすぎた結果、ラシャ地もペラペラになっており、ここで手を加えると破けてしまうと再度断られ、渋々新たに仕立てることを承知する。
外套が出来上がってくるまでの数日間、彼は今まで感じたことがないような高揚を感じる。まるで伴侶を迎える前のような心持ちである。
そしてついに新しい外套が届き、袖を通してみると、柔らかく包み込み且つ暖かいそれはまさしく伴侶のような存在に思えてならなかった。
さっそく役所に出勤すると今まで彼に目もくれなかった役人達が声をかけてくる。しかも上司が自分宅でパーティを開こうとまで言ってくる。
彼は外套を新調したことで人生の春がやってきたかのようだった。
ところが春は長くは続かない。
上司宅でのパーティ帰り、数人グループの追いはぎに遭い、なんと外套を奪われてしまったのだ。しかも暴行を受けその場で失神。意識が戻り、警察官に事の次第を訴えるが相手にしてもらえない。(この時代のロシアは庶民の訴えなど聞いてくれなかったようだ。帝政ロシア末期、だから革命が起こるのだ。)
気の毒に思ったアパートの大家は伝手で夫が校長をしている女性を紹介してくれる。上に顔が利く人物からしかるべき地位の人物を紹介してもらい、そこからの口利きで問題提起しないと事が進まないのが当たり前の世の中なのだそうだ。
で、この女性の夫から警察に顔が利くであろう人物を紹介してもらい、アカーキィは尋ねていくのだが、そこでけんもほろろな態度で追い払われ、ショックのあまり真冬の街中を歩きまわったせいで肺炎を起こし呆気なく亡くなってしまう。
それで終わりではないのだ。
その後、夜な夜な男の亡霊が出るという噂がたつ。それも「俺の外套だ」と言って、外套をはぎ取ろうとするのだ。
そんな噂がたち初めて数ヶ月後、アカーキイを追い払った有力者は馬車で愛人宅に向かっていると、男の亡霊が現れ「俺の外套だ」と言って上等な外套をはぎ取ろうとする。恐怖に怯えた有力者は御者に行き先を自宅に帰させる。自宅に帰り着いた有力者は上等な外套をはぎ取られていた。
その後、男の亡霊は現れなくなった。

第2章はある家族のクリスマスディナーの移り変わりを1840年ころから1930年にかけて描いたもの
場所はアメリカの地方都市
キリスト教徒にとってクリスマスディナーはとても大事な行事なのでしょう。午前中、教会で聞いた説教に感激する老婦人と息子夫婦
新しく建てた自宅で迎える初めてのクリスマスディナーから始まります。
下手側から新たな人物が登場しディナーに加わる。中央後方に別の出口があり、そこは別の世界(死)への入口である。
ディナーテーブル上に飲食物はありません。役者さんたちはそこにワイングラスがあるかのように、または焼いた七面鳥があるかのように振る舞います。
息子夫婦に子供が生まれ、クリスマスディナーに子供の声が響きます。そのうち老婦人が死出に旅立ちます。生存している家族は舞台上から退場することなく、その場でショールをまとったり、白髪混じりのカツラを付けたりしながら老齢になっていきます。
原作のト書きにもここでカツラを装着とか指示が書いてあるのですって。テーブルには鏡がないからカツラを付けるの大変ですよね。わたしもカツラを使うので大変さがわかります。
話すキーを低くしたり、ゆっくりにしたりと工夫されて、20代から40代、60代くらいと人生を営んでいきます。
世代が代わり、かつて聞いたことがあるセリフを老齢の域に達した家族が言ったり、なんだかほっこりします。
新築だった家も古くなり、若い世代は建て直したいようですが、老世代は思い出が詰まっている家を取り壊すなんてとんでもないと思っているようです。
かつては上の世代に逆らうなんてあり得なかったのに、じょじょに若者たちは不満を露わにする時代へと移り変わります。
家族に戦死した若者がいましたが、あれは第一次世界大戦でヨーロッパ戦線に参加したのでしょうか。語られることはありませんが、時代的にそこかなと思います。

この家族は事業が巧くいき、教会に多額の寄付をしているので地元の名士と言ったところでしょうか。
最後の世代では事業を継承する家族はいなかったので、最終的に手放したかもしれません。
この最後の世代は4人兄弟(妹)で、長男は赤ん坊のころに死亡、2番目3番目は男女の双子、4番目は男
2番目が戦死
3番目の娘は結婚してニューヨークに住み、夫は事業を興してそれなりの生活をしていたよう。
4番目は東南アジアでアヘン売買している。(アヘンと限定していたかな・・・とりあえずその手の薬)

屋敷に残ったのは彼らの母親と親戚の老婦人
母親は娘と同居することになりニューヨークへ、娘としばらく同居したら帰ってくるみたいなことを言うが、屋敷は親戚の婦人に好きにして良いとも言う。で、けっきょく母親は都会生活が気に入ったようで、車いすでニューヨークを暴走しているとのことだった。
きっと彼女は老後を満喫できたのだろうな。
最後に残った親戚の老婦人が亡くなり、話しは終わるのです。


役目を終えた家もお疲れ様でした。おやすみなさい。

『演劇ドラフトグランプリ2023』


なんと日本武道館で演劇鑑賞ですよ。
南側1階C列(とても見やすかった)



「演劇ドラフトグランプリ」は昨年から始まったらしい。(違っていたらごめんなさい)
お兄様こと七海ひろきさんが座長のひとりとして参加することになり観劇予定に組み込みました。
日本武道館に初お目見えするのを見逃すなんて、あり得ませんわ。

5人の座長と5人の演出家が事前に発表され、その組み合わせがまず決まります。
次に演目のテーマを抽選で決定します。
座長     演出     テーマ
荒牧慶彦  -川尻恵太   アイドル
高野 洸  -松崎史也   天気
染谷俊之  -中屋敷法仁  宝箱
七海ひろき -三浦香    待ち合わせ
玉城裕規  -私オム    初恋
(敬称略)

その後、プロ野球のドラフト会議形式で座長が4名の出演者を選びます。希望俳優が競合したときは抽選です。(まさしくドラフト会議なんです)
指名されることを待っている20名の役者さんたちは座長の指名と抽選を繰り返しながら5組に分かれていきます。

演出家さんは脚本も兼ねており、自分が担当する劇団(劇団名も後に命名します)員の顔ぶれを見て、テーマに沿ったオリジナル作品を作り上げていきます。

5組のテーマが決まったあと、自分ならこのテーマだとこんな風に話しを作るかな~なんて妄想したわけですよ。
でもね、どの作品も妄想の斜め上をいっちゃう内容で、わたしの発想って所詮凡人なんだな~と思いましたさ。

ドラフト会議は生配信を観たのですが、七海さんが高木さんか唐橋さんを選んでくれるといいな~と思っていたら、唐橋さんを見事ゲットしてくれました。参加する役者さんの年齢層は20代~40代、ひとりはベテラン組を欲しいよね~と勝手に思っておりました。

さて当日
1回きりの公演ですからね。しっかり観なくては。
17時開演なので、仕事は午後休暇をとり、自宅に余分な荷物を置いて、いざ出陣!!
武道館前に設置されたグッズ売り場でパンフレットと七海さんのブロマイドを購入してから中へ。

舞台はアリーナ中央に設置され(日の丸の下)360度から観られるようになっています。
なのでどこが正面とかはないのですが、わたしは審査席の斜め上なので、マイクスタンドを使う場面では正面にあたりました。

舞台ナビゲーターに鈴木拡樹さん
総合司会は山寺宏一さん

そしてなんと国歌斉唱(まさか有るとは)は中川晃教さん
中川さんは特別審査員でもありました。

その他審査員は大手出版社の少年誌(ジャンプとかサンデーとか)編集長4名、ステージナタリー編集長の5名

演じる順番は抽選で数日前に決定
高野 洸、染谷俊之、七海ひろき、荒牧慶彦、玉城裕規の順

上演時間は15分~20分
衣装チェンジなし
大道具なし
演者が持ち運べるもののみ可能

先に残念だったことを挙げると、武道館は武道場なので音響なんてそもそも考えて造っていません。なので音響に関してはイマイチです。(これはもう周知の事実)その割りを喰ってしまったのは一番目の高野さんグループだと思う。開始早々の姉弟げんかでは音が割れてしまい何を言っているか聞き取れなかった。もしかしたら席の場所によってなのかもしれませんが、少なくともわたしの席ではダメでした。

また他のグループでもありましたが、音が二重に聞こえてしまう。
TOKIOのライブではそういうことはなかったので、ステージ後ろに布を垂らして客席をつぶすのって大事なことなのかもしれない。

さて、良かったこと
①進行がスムースで、客席がアリーナを含め9割方埋まっていたこと
配信も含めるとかなりな集客が出来た。
これだけの箱を埋められる集客能力はたいしたもので、演劇好きとしては嬉しい限りです。
②5組5色の演劇を観ることが出来た。見事に毛色が違っていた。相談しないでこれって凄い。

グランプリを決めるのは審査員の持ち点+観客、配信観覧者の投票
見事グランプリに輝いたのは、玉城裕規さんのチーム
最も演劇らしい仕上がり作品がガチバトルに勝利しました。

作品中の萩野崇さんが最後に言ったセリフがとても良くて、この役者さんはどれほどのポテンシャルを秘めた方なんだろうかと
玉城さんのチームが最後だったので、最後の最後に萩野さんがかっ攫っていったよでした。

来年も開催してくれたら七海さんにはまた座長をして欲しいな。
審査席に向かってウインクとか七海さんならでは、登場直後のイケメン歌手ぶり(一発屋なんだけど)もキャウキャウさせてくれた。
アーティスティックスイミングの振り付けもかっこいいし笑わせてくれるし、ほんと楽しかった。

どの作品に投票したかは秘密ですが、話しとして一番好きなのは染谷さんチームの作品でした。