『ミュージカル イザボー』

1月22日 ブリリアホール 1階6列目下手通路側

日本のオリジナルミュージカルもここまで来たか!
歌唱力があるって正義!
ミュージカルにおける歌唱力ってただ巧いだけではダメで、演じている役のセリフの一部だとわたしは思うので、役との整合性が必要で、その上での巧さ、説得力を兼ね備えていて欲しいのです。
その点で、イザボーの出演者はアンサンブルを含めて皆さん巧い!
休憩含め約3時間、聴き惚れました~。

脚本、演出の末満さん。
オリジナルは映画を含め3本目の観劇でしたが、2.5より自由度が高いのでやりやすいのだろうな。
ブルゴーニュ公ジャン(またはサン・プール)殺害の実行役を12年前に暗殺されたオルレアン公ルイの関係者たちとしていたが、実際には後のシャルル7世の側近たち。因果応報、やったらやられるという地獄を表現する一端として末満さんらしい選択だなと思う。

この辺りの歴史はベルばらを発端に歴史オタク化したわたしがとっても好きな時代で、なんていうか諸々破壊されたり消失したりして、何か発見されたらひっくり返る可能性が残っていてワクワクする。物語の一部を見ているような気持ちでいられるのがフランス革命前あたりまでなんですよね。ややおとぎ話チック。それ以降は経済史や政治史が表に出すぎてつまらなくなってくる。

またヴァロア王朝なんて言ってるけど、実際のところ王権なんてたいしたことなくて諸侯のどこと組むかで成り立っていた時代、それが百年戦争で諸侯の力が弱まり絶対王政に繋がるのだから面白い。

オルレアン公ルイの本妻がヴィスコンティ家出身だとイザボーで知りました。いっときはイタリア全土を掌握しそうだったミラノ大公家(映画監督のルキノ・ヴィスコンティ好き~~)ヴァロア家と繋がっていたのですね。(地理的には当然だろうか)
イザボーはバイエルンヴィッテルスバッハ家のお姫様で、嫁ぎ先でヴィスコンティ家の公女と縁戚関係となる(しかも寝取ってしまう)。それから500年後くらいの最後の直系男子ルキノ・ヴィスコンティヴィッテルスバッハ家最後の王、ルードヴィッヒ2世の生涯を映画化したのは必然でしょうか?(かなりこじつけ感)

ミュージカルの話しから随分飛んでしまいました。
楽曲はフレンチ・ミュージカル系統(ロック調)
フレンチ・ミュージカルを最初に見たのは宝塚星組の「ロミオとジュリエット
初見のときは五月蠅いミュージカルだな~とやや嫌悪したけど、聴き慣れてくると気にならなくなってくるから不思議です。
フレンチ・ミュージカル系の曲は裏声を仕えないからめちゃくちゃ腹筋使って力業で発声するようなところも有りますが、だいもん(望海さん)はまったくそれを感じさせなかった。

衣装も格好良かったな~
ビジュアル写真で使われている赤い衣装はイザボーの戦闘服なんだろうな。スリットから覗く美脚も良き。

席を贅沢言わなければ、平日ならまだ取れそう・・・もう1回観たい。

「フランスはひとりの女に滅ぼされ、ひとりの少女によって救われた」
イングランドと停戦条約を結んだことにより(内容が凄いしね)イザボーはフランスでは今でも嫌われているのだろうか?
でも百年戦争中のフランスはイングランドと戦争しているというより、国内の勢力争いによる内戦のほうが激しかった。その事を鑑みると他国と戦争している場合じゃない。諸侯たちは結局自分の領地と政治的影響力を維持することしか考えていなかった時代、もろもろ総合してイザボーを見直しても良いのではないか?
ベルばらの影響でマリー・アントワネットがたんに浪費家だったわけではないという再評価されている昨今、イザボーのことも冷静に見直すきっかけになれば良いと思う。